【医療機器商社とメーカの二刀流】日本ライフライン(7575)について銘柄分析!

銘柄分析

個人的に注目している銘柄を1社ピックアップして紹介します。今回は医療機器の卸売自社開発の医療機器の販売を行っている企業、日本ライフライン(証券コード:7575)について特集します。この企業のビジネスモデルの特徴や、持っている強みについて解説していきます。

また投資先としてみたときの業績状況や、現在の株価水準などについて分析した結果をあわせて共有したいと思います。興味があれば参考にしていただけると嬉しいです。

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日本ライフラインをざっくり評価

  • 収益性
    5
  • 経営効率
    2
  • 成長力
    5
  • 割安度
    4
  • 株主還元
    3
日本ライフラインの優位性
  • 医療機器業界で商社×メーカーの2つの側面を持っている数少ない企業
  • 心臓循環器向け製品の販売から積み上げてきた40年以上の実績
  • 付加価値の高いオンリーワン製品を多数保有
  • 株価は割安水準だが、長期トレンドは横ばい
  • 営業利益率・ROEともに15%越えの高収益体質
  • 医療機器製造という参入障壁の高いビジネスでの成長に期待したい

日本ライフラインはどんな企業?

並べられた手術器具の数々

まずは、日本ライフラインがどんな企業なのか簡単に紹介していきます。日本ライフラインの企業基本情報を以下の表に示します。

企業概要
会社名日本ライフライン株式会社
Japan Lifeline Co.,Ltd.
証券コード7575
業種卸売業
上場している市場東証プライム市場
本社所在地東京都品川区東品川二丁目2番20号 天王洲オーシャンスクエア25F
設立年1981年2月6日
資本金21億1524万1600円
従業員数連結1,216名(2024年3月31日現在)
事業内容医療用機器輸入・製造および販売

日本ライフライン株式会社は、今年で創業43年を迎える医療機器の製造および販売を行っている企業です。輸入した海外メーカーの医療機器を販売したり、自社開発した医療機器を販売しています。主な顧客は、病院などの医療機関であり、高品質な医療機器を迅速に供給して社会に貢献しています。

日本ライフラインの強みとは?

手術を行う男性医師2人と施術器具を差し出す女性医師

日本ライフラインはほかの医療機器メーカーや医療機器卸売企業とどう違うのか、主な強みとしては以下の3つが挙げられます。

日本ライフラインの優位性
  • 医療機器業界で商社×メーカーの2つの側面を持っている数少ない企業
  • 心臓循環器向け製品の販売から積み上げてきた40年以上の実績
  • 付加価値の高いオンリーワン製品を多数保有

商社×メーカーの2つの側面を持つ数少ない企業

日本ライフラインの1つ目の強みとして、医療機器の輸入・販売を行う商社としての側面だけでなく、自社で製造した製品も販売するメーカーとしての側面を持っていることが挙げられます。多くの医療機器販売を行っている企業が海外・国内の医療機器メーカーから仕入れた製品を販売するだけなのに対して、日本ライフラインは卸売を行ってきた経験をもとに、自社で高品質な医療機器を開発・製造できる体制を構築しました。

こういった企業は珍しく、日本ライフラインならではの強みとして活きています。

心臓循環器向け製品の販売から積み上げてきた40年以上の実績

ハートマークを持つ医師

日本ライフラインの2つ目の強みとして、医療機器・器具の販売を40年以上にわたって供給し続けてきた信頼と実績が挙げられます。日本ライフラインは、1981年に心臓を動かす機械であるペースメーカーの販売から医療機器の販売をスタートしました。

それ以降40年以上にわたって、血管に入れる管であるカテーテルや、血管を広げて維持するステントなど幅広い医療器具・機器を医療現場に供給してきました。

この長年の実績が医療機関からの信頼を得ており、参入障壁の高い医療機器業界で日本ライフラインの製品が広範囲の販売ルートを持てる理由になっていると考えます。

付加価値の高いオンリーワン製品を多数保有

日本ライフラインの3つ目の強みとして、医療現場を支える高品質で使いやすいオンリーワンの医療器具・医療機器を販売していることが挙げられます。日本ライフラインは、心臓手術で使う心腔内除細動カテーテルという医療器具で市場シェア80%以上の圧倒的なシェアの高さを誇ります。

また、大動脈にこぶができる大動脈溜などの手術に使用する人口血管や、胆管を広げるためのステントやバルーンなど数多くの自社開発製品を提供しています。

これは、医師が使いやすく壊れにくいオンリーワンの医療器具や医療機器を実現できる日本ライフラインの技術力の高さによるものだと考えます。

投資先としてみた日本ライフライン

さまざまなグラフが書かれたコピー用紙の上に虫眼鏡とボールペン

ここからは、投資先として日本ライフラインという企業を見たときにどうなのか、分析した結果を共有していきます。

日本ライフラインの業績の推移

日本ライフラインの直近5年間の業績の推移を以下のグラフに示します。売上高を5年で2倍近く伸ばしながら、営業利益率・ROEどちらも10%以上の高い水準を維持しており、成長力の高い企業であることが見て取れます。

日本ライフラインの2020年から2024年の売上高・営業利益率・ROEの推移を表したグラフ
出典:日本ライフライン株式会社 2020年3月期~2024年3月期 決算短信をもとに作成

日本ライフラインの株価の推移

日本ライフラインの直近5年間の株価月足チャートを以下に示します。2024年に入るまでは緩やかな下落基調が続いていましたが、直近は赤いラインの12カ月移動平均線と、青いラインの24カ月移動平均線が上向きになっていることから、横ばいの状態から長期の上昇トレンドに転換していくかどうか要注目といったところです。

日本ライフラインの2020年1月から2024年12月までの株価の月足チャート
出典:Trading View 日本ライフライン(7575) 月足チャート

日本ライフラインの株価の割安度・収益性・株主還元

続いて、日本ライフラインの現在の株価がどの程度の水準感にあるのか、また収益性や株主還元がどうなのか示す指標を以下の表に示します。

日本ライフラインの分析指標
PER11.5倍
PBR1.79
2024年3月期 ROE13.2%
2024年3月期 ROA10.2%
2024年3月期 売上51,384百万円
2024年3月期 営業利益率21.2%
配当利回り3.3%
配当性向42.5%
直近10年 配当実績増配7回 減配1回 据置2回
出典:日本ライフライン株式会社 2024年3月期決算短信資料 PER/PBR/ROE/配当利回りは2024年12月27日終値もとに計算

原罪の株価の水準感についていえば、PERが11.5倍PBRが1.79倍であることから考えると、日本ライフラインの現在の株価はやや割安な水準にあるとみています。ROEが13.2%ROAが10.2%と高い水準にあり、同業他社と比べても経営資源を効率よく利益に変えられる企業とみてよいでしょう。

株主還元に関しては、配当利回り3.3%で直近10年間で増配を7回実施しており、さらなる利回りの上昇が期待されます。また、配当性向が42.5%株主還元と企業成長のどちらにもバランスよく利益を配分する姿勢がうかがえます。

日本ライフラインの将来性

LIFEと書かれたロゴを押すビジネスマン

日本ライフラインの業績がこれからどうなっていくのか、業績を押し上げる要因とリスクとなる要因をそれぞれ1つずつ挙げて紹介します。

業績プラス要因: 心臓循環器から脳血管・消化器へのビジネス拡大

日本ライフラインのこれからの業績を押し上げそうな要因として、日本ライフラインが得意としている心臓循環器用の医療機器だけでなく、脳の血管や大腸などの消化器用の医療機器にもビジネスを拡大していくことが挙げられます。

心臓循環器用の医療機器・器具の市場では日本ライフラインの製品が高いシェアを獲得していますが、市場全体の成長スピードは鈍化していく傾向です。そこで、心臓循環器用の医療器具の技術を生かして脳血管や消化器用の医療器具にもビジネスを拡大していく方針を打ち出しています。これをもとに、日本ライフラインの業績が引き続き成長していくことに期待が持てます。

業績リスク要因:製品のリコールによるブランドイメージの悪化

一方で、日本ライフラインの業績にマイナスの影響を与える可能性があるリスク要因が、製品のリコールによるブランドイメージの悪化です。日本ライフラインの製品は非常に高い信頼性をもとに医療現場に供給されていますが、それでも一部の製品にはリコールが発生しています。

例えば、日本ライフラインの胃十二指腸用ステントは2023年7月にステントの展開ができない不具合の可能性があることを理由に一部製品の自主回収がありました。(出典:m3.com 臨床ダイジェスト)

この例で健康被害は特にありませんでしたが、万が一今後何らかの製品不具合が発生した場合、日本ライフラインのブランドイメージが傷つき、業績に長期的なマイナスの影響を与えてしまうリスクはあると考えています。

まとめ:高参入障壁の医療機器業界での成長に期待!

青い空間に浮かんでいるピクトグラムとハートマークを浮かべた人の手

今回の記事では、医療機器の卸売・開発・製造を行う企業である日本ライフラインについてピックアップして解説しました。日本ライフラインは、病院での手術などで使う医療機器や医療器具を供給する企業です。

海外メーカの医療機器を仕入れて売る商社の側面と、自社で開発した製品を販売するメーカという2つの側面を持つ数少ない企業で、40年以上にわたる医療機器の販売実績高付加価値かつオンリーワンの医療機器ラインナップといった強みを持っています。

投資先としてみると、株価は現在横ばいのトレンドを見せていますが、上昇トレンドへの転換の兆しを見せ始めています。営業利益率・ROEともに10%以上を維持する収益性・経営効率の高さを持っています。配当についても、直近10年で7回の増配を発表するなど魅力的な株主還元を行っています。

今後は、高いシェアを確保していた心臓循環器領域から脳血管・消化器領域にビジネスを拡大していく姿勢を見せており、医療機器業界という参入障壁の高い業界で成長していくことが期待できる企業だと考えて注目しています。