【振り返り】3月注目銘柄10選 その後の株価は?

注目銘柄

以前以下の記事で、2024年3月時点で私の投資指標をもとに投資価値が特にありそうな日本企業を10社紹介しました。

3月期本決算シーズンが終了し来期の業績予想が発表されたところで、紹介した銘柄群の株価が果たしてその後どうなったのかおさらいしてみたいと思います。ぜひ参考にしていただけると嬉しいです。

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3月注目銘柄10選と紹介時からの株価動向

3/14に3月の注目銘柄として紹介した企業10社と、紹介時からの株価変化の一覧を下の表に示します。

銘柄
コード
企業名3/14
株価
5/24
株価
変化率
3245ディア・ライフ939856-8.84%
3666テクノスジャパン6276412.23%
3924ランドコンピュータ846826-2.36%
3964オークネット2257249610.59%
4318クイック23702145-9.49%
4595ミズホメディー329033903.04%
4792山田コンサルティンググループ1724193212.06%
6417SANKYO16571490-10.08%
7605フジ・コーポレーション170817975.21%
9769学究社206720780.53%
(参考)TOPIX266127423.04%

上の表の結果から、日本企業全体の株価水準であるTOPIXを基準に考えれば、

  • TOPIX以上に株価が上昇した:4社
  • TOPIXを下回ったが、株価は上昇した:2社
  • TOPIXを下回ったうえ、株価が下落した:4社

今回の結果から、投資指標の更なる見直し必要なこと、投資先企業を見極める力が足りていないことを実感しました。より良い情報を皆さんにお届けできるよう今後精進いたします。次の項では各企業の決算情報とそれに対する株価の反応の理由について解説していきます。

3月注目企業10社の各社の決算内容と株価反応

ディア・ライフ:売上・利益の急減を嫌気か

株式会社ディア・ライフは、首都圏に特化した不動産開発や投資を行っている企業です。9月期決算企業のため、2024年5月10日に中間決算を発表しました。決算内容をまとめると、以下の内容になります。

  • 前年同期比で、売上高は23.4%減少、営業利益71.0%減少。ただし、今期業績予想は修正なし。
  • 今回の売上高・経常利益の減少は、不動産物件の仕入れに注力したことによる一時的なもの。
  • 足元の事業環境は追い風が続いており、不動産需要は旺盛。

売上高・営業利益ともに前四半期比で大幅に減少したことが投資家の売りを呼んでしまい、株価は短期的に下落基調に転じてしまったと想定されます。一方で、業績予想は変更なく、事業環境自体は追い風が続いているため、業績へのインパクトは少ないと思われ、今後の動向に注目です。

テクノスジャパン:決算を好感し上昇中

株式会社テクノスジャパンは、企業向けの経営/業務ソフトウェアの導入支援・保守を行っている企業です。5月15日に2024年3月期の本決算を発表しました。決算内容をまとめると、以下の内容になります。

  • 前年比で売上高14.6%増加、営業利益14.7%増加と好調。
  • 来期業績予想も発表し、売上高10.0%増加、営業利益13.1%増加と好調維持。
  • 4期連続の増配予想を発表

決算内容からすると、今期決算は好調で、来期も好調を維持し続けられるうえ、増配も発表されているので、非常に良い決算だといえます。この決算に反応し、株価は短期的に上昇に転じました。長期トレンドの方向感が定まっていないため、今後の動きに注目です。

ランドコンピュータ:決算好感し上昇中

株式会社ランドコンピュータは、企業システムのコンサルティング・受託開発やパッケージソフトの導入支援を行う企業です。2024年5月14日に2024年3月期本決算を発表しました。決算内容をまとめると、以下の内容になります。

  • 前年度比で売上高は18.6%増加、営業利益41.5%増加と絶好調
  • 来期業績予想も発表、売上高5.0%増加、営業利益7.5%増加と好調続くも、増加幅縮小。
  • 来期配当は1円増配を予定。

決算内容としては、売上高・営業利益ともに増加し、今期営業利益は前期比40%超の大幅増加となっており素晴らしい結果を収めました。来期も好調は続きますが、増加幅は今期と比べ縮小した予想を出しています。この保守的な予想が投資家の期待に届かなかったのか、株価の反応は鈍いです。PERもまだ11倍台と割安なので、今後また上昇が期待されると考えています。

オークネット:決算を無事通過

株式会社オークネットは、中古車から花き・中古ブランド品に至るまでのオークションサイトを運営する企業です。12月期決算企業のため、2024年5月14日に第1四半期決算を発表しています。決算内容をまとめると、以下の内容になります。

  • 前年同期比で、売上高2.4%増加、営業利益4.7%減少。
  • 今期予想(前年比売上高10.8%増加・営業利益5.1%増加)の修正はなし。
  • 通期業績に対する進捗率30.0%と前年と同程度。

決算内容は、特にサプライズもなく予想通りの内容となり、株価も大きくは動きませんでした。PERもまだ13倍台と割安のため、今後も上昇は続くとみています。

クイック:来期減益予想を嫌気か

株式会社クイックは、人材派遣サービスや採用コンサルタント事業を行う企業です。2024年4月26日に2024年度3月期本決算を発表しました。決算内容をまとめると、以下の内容になります。

  • 前期比で売上高6.1%増加、営業利益10.6%増加と今期は好調だった。
  • 来期予想を発表し、売上高7.4%増加、営業利益9.6%減少と減益を予想。
  • Indeed等新たな広告モデルの台頭によって、クイックの従来型広告モデルが利益出せず

決算内容からすると、今期業績自体は売上・利益ともに好調でしたが、来期業績で減益予想が発表されたため、株価はマイナスに反応し短期的に下落傾向にあります。これがこのまま長期的な下落トレンドにまでつながってしまうのか注視が必要な局面にあると考えています。

ミズホメディー:順調な業績の反面、株価の動き鈍く

株式会社ミズホメディーは、感染症の検査薬や遺伝子検査機器を提供している医薬品・医療機器メーカです。12月期決算企業のため、2024年5月10日に第1四半期決算を発表しました。決算内容をまとめると、以下の内容になります。

  • 前年同期比で、売上高14.7%増加、営業利益21.8%増加と好調。
  • 今期業績予想の修正はなし。
  • 通期計画に対する進捗率は、32.9%と高い水準にある。

決算内容からすると、今のところ通期計画に対して順調な業績を上げており、すでに進捗率32.9%まで到達しているため、好調と言えます。株価は決算発表日にプラスに反応し上昇しましたが、いまだ方向感に欠ける展開を続けています。

山田コンサルティンググループ:決算好感+増配で上昇

山田コンサルティンググループ株式会社は、M&Aや事業承継に向けた経営コンサルティング事業を行うかたわら、未上場株式投資・不動産投資を行っている企業です。2024年5月8日に2024年度3月期本決算を発表しました。決算内容をまとめると、以下の内容になります。

  • 前年比で売上高34.8%増加、営業利益27.5%増加と好調。
  • 来期予想も発表し、売上高4.8%減少、営業利益1.8%増加とわずかに増益を維持。
  • 2024年度前期の1円増配を発表。

決算内容から、今期は売上高・利益ともに過去最高を達成する好調な業績を収めました。来期についても増加幅は縮小するものの、増益を確保する予想を発表しており、株価はプラスに反応し上昇しています。長期トレンドも緩やかな上昇トレンドを描いているため、今後の上昇も期待できると考えます。

SANKYO:来期減益予想に反応し下落か

株式会社SANKYOは、パチンコ・スロット遊技機や遊技機周辺機器の製造販売を行うメーカです。2024年5月8日に、2024年度3月期本決算を発表しました。決算内容をまとめると、以下の内容になります。

  • 前年比で、売上高26.6%増加、営業利益23.9%増加と好調をキープ
  • 来期予想も発表し、売上高9.6%減少、営業利益15.9%減少と業績悪化へ転じる予想
  • パチンコ機市場の停滞と新紙幣発行が影響するとみられている

決算内容からすると、今期決算については売上高・営業利益ともに過去最高を達成し好調な結果を収めました。一方で、来期はパチンコ機市場の需要低迷と新紙幣発行に伴う設備投資控えが影響し、減益を予想しており、これが株価にマイナスに働いてしまい中期の下降トレンドに入りました。今まで急速に上昇を続けてきた反動がどこまで株価を押し下げてしまうか注意が必要だと考えています。

フジ・コーポレーション:レンジ相場で推移

株式会社フジ・コーポレーションは、自動車用タイヤやホイール等のカー用品を、実店舗と通信販売の両方のルートで販売する企業です。10月期決算企業ということもあり、紹介時から現在まで決算発表はありませんでしたが、以下の月次の売上高が発表されています。

  • 3月:前年同期比売上高16%減少
  • 4月:前年同期比売上高5%増加

3月の売上高の減少に反応し一時的に株価は急落しましたが、4月に売上高がプラスに転じたことを好感して株価は上昇し、同じ水準に戻ってきた形となっています。株価の長期トレンドとしては、まだ上昇トレンドを保っていますが、今後の月次売上高の推移を注視する必要があると考えます。

学究社:私立高校の授業料無償化がマイナス要因に

株式会社学究社は、都立中高一貫校・難関都立高校受験対策を中心とした学習塾「ena」を展開する企業です。2024年5月13日に2024年3月期本決算を発表しています。決算内容をまとめると、以下の内容になります。

  • 前年比で、売上高1.6%増加、営業利益2.4%減少と不調。
  • 東京都の私立高校の授業料無償化が向かい風となり、業績を下方修正
  • 来期予想については、売上高5.0%増加、営業利益8.6%増加と好調を見込んでいる

決算内容からすると、東京都の私立高校の授業料無償化の影響が業績を押し下げる形で今期業績は低調に終わりました。一方で、来期は難関私立中学・高校受験対策校を開校し、私立校の受験対策にも手を広げることで増収増益を見込んでいます。この方針転換が業績を押し上げるのか要注目です。

まとめ:期待企業は予想と反して低調な結果に

今回の記事では、以前3月に紹介した注目企業10選のその後の株価動向について振り返る内容をお届けしました。TOPIXを上回る株価上昇となっていたのは、10社中4社と少なく微妙な結果となってしまったため、投資指標・企業分析方法の見直しをかけ、皆さんにより有益な情報を届けられるようにしたいと考えております。

近日中に、3月期決算内容をもとに注目企業をピックアップして紹介する記事を上げる予定ですのでご期待ください。