今注目すべき企業を1社ピックアップして詳しく紹介します。今回の記事で取り上げるのは、証券コード:8117の「中央自動車工業株式会社」です。この企業については、以前別の記事で2024年上半期の注目企業としてリストアップしました。
この企業がどういった企業で、どのような強みを持っているのか紹介し、また投資先として有望かどうかファンダメンタルズ分析を行い評価してみようと思います。ぜひ参考にしてみてください。
- 中央自動車工業がどんな企業なのか
- 中央自動車工業がなぜ高収益性を保ちながら成長し続けてきた理由
- 中央自動車工業の現在の株価動向
中央自動車工業とはどんな企業?

まずは、今回紹介する中央自動車工業株式会社の概要から紹介していきます。
中央自動車工業 プロフィール
企業プロフィール | |
会社名 | 中央自動車工業株式会社 Central Automotive Products Ltd. |
証券コード | 8117 |
業種 | 卸売業 |
株式市場 | 東証スタンダード市場 |
本社所在地 | 大阪市北区中之島4-2-30 |
設立年 | 1946年5月 |
資本金 | 1,001,000,000円 |
従業員数 | 259名(2023年3月現在) |
事業内容 | ▼自動車用部品・用品等販売事業 ▼自動車処分事業 |
中央自動車工業の事業内容
中央自動車工業株式会社は、自動車用部品の卸売事業を祖業とする自動車用品の製造販売を行っている企業です。以下2つの事業を行っています。
- 自動車用部品・用品等販売事業
- 自動車処分事業
自動車用部品・用品等販売事業
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この事業が、中央自動車工業の主力事業です。特にカーコーティング剤・アルコール検知器を主力製品として製造・販売しています。
カーコーティング剤とは、自動車のボディの表面を何層ものガラスや樹脂の層で覆うことができるメンテナンス用品で、以下のような効果が得られるため自動車を所有している方から人気があります。
- 汚れをつきにくく、落としやすくする
- 新車の光沢を長持ちさせる
- 紫外線による色あせから守る
- 細かい傷がつくことを防ぐ
アルコール検知器「SOCIAC(ソシアック)」も中央自動車工業を代表する製品です。この製品に短時間息を吹きかけるだけで、呼気中のアルコールの有無を検査できます。タクシー運転手やトラックドライバーなど職業柄自動車を運転する方に主に使用されています。2023年に道路交通法が改正され、アルコールチェックが義務化されたことをきっかけに売り上げを伸ばしています。
その他、自動車部品の卸売事業も行っており、自社プライベートブランドであるJ.C.A.Pを持ち、高品質な自動車部品を海外に供給しています。
自動車処分事業
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自動車処分事業は、中央自動車工業株式会社の子会社である株式会社ABTが事業としている全損車両処分の事務代行サービスです。災害や事故などで破損してしまった車両を処分する際、法的な手続きを踏んで自動車にかかる税金や自賠責保険料を支払わなくて済むようにする必要があります。その面倒な手続きを代行するサービスを提供しています。
中央自動車工業の強み
中央自動車工業が高い利益を上げられる強みとしては、以下の3つが挙げられます。
- 付加価値の高いカーコーティング剤の開発能力
- 全国のカーディーラーを顧客に持つ強力な販売網
- 国内だけでなく海外展開できる商流を持っている
付加価値の高いカーコーティング剤の開発能力

中央自動車工業の強みの一つとして、自動車ボディを新車同様に保ち続けることのできる高品質なカーコーティング剤の開発能力が挙げられます。中央自動車工業はカーコーティング剤事業を30年以上も前から続けてきたノウハウを持っています。加えて、さまざまな天候を再現して試験できる環境を備えた研究開発拠点「中野島R&Dセンター」も保有しており、優れたカーコーティング剤を生み出す開発体制が整っています。
全国のカーディーラーを顧客に持つ強力な販売網

中央自動車工業の2つ目の強みとして、地道に開拓し続けてきたカーディーラへの自動車用品の販売網が挙げられます。中央自動車工業のカーコーティング剤をはじめとした自動車用品は、カーディーラーを介して施工されることで売り上げにつながります。
一方で、カーディーラーには各自動車メーカーから供給される純正品のカーコーティング剤もあり、競合関係にあります。それでも中央自動車工業のカーコーティング剤が選ばれるのは、製品自体の質の良さだけでなく、カーディーラーとの信頼関係を築くことのできる営業能力の高さと言えるでしょう。
国内だけでなく海外展開できる商流を持っている
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中央自動車工業の3つ目の強みとして、自社製品を海外に販売していける商流を持っていることです。中央自動車工業の祖業は、自動車部品を海外に卸す卸売業です。その祖業で築いてきた海外とのネットワークを駆使して国内だけでなく、海外のマーケットに自社製品を売り出していけるのは中央自動車工業ならではの強みと言えるでしょう。
Keeper技研との関係性
カーコーティング剤で成長を果たしている企業として有名なのが、Keeper技研(6036)です。この企業が競合関係となり、成長の壁となるのではないかと不安視する方もいるのではないでしょうか。
中央自動車工業とKeeper技研は一見ビジネスモデルが似ていますが、ターゲットとする顧客層が違うため競合関係は薄いです。中央自動車工業は自動車を販売するカーディーラーが顧客であるのに対して、Keeper技研はロードサイドに店舗を置き、既に自動車を持っている個人を顧客としているところに明確な違いがあります。
投資先としてみた中央自動車工業
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中央自動車工業が投資先として有望なのかどうか、現在までの株価推移とファンダメンタルズ分析で検討してみます。
中央自動車工業の株価推移
まずは、直近5年間の中央自動車工業の株価の推移を月足チャートとして以下に示します。

※赤ライン:12カ月移動平均線 青ライン:24カ月移動平均線 緑ライン:60カ月移動平均線
2023年に入ったあたりから株価は長期的な上昇トレンドに入りました。2024年3月22日に5940円の高値を付けてからは調整に入っていましたが、2024年6月に4600円付近で切り返す動きを見せています。これからまた株価上昇に戻っていくのか注目したいところです。
中央自動車工業のファンダメンタルズ分析
続いて、現在の中央自動車工業の株価水準がどの程度の位置にあるのか、また収益性・配当性向について示す主な指標の一覧を以下に示します。
ファンダメンタル分析指標 | |
PER | 11.8倍 |
PBR | 1.9倍 |
2024年3月期 ROE | 17.3% |
2024年3月期 ROA | 14.9% |
2024年3月期 売上 | 39,331 百万円 |
2024年3月期 営業利益率 | 25.9% |
配当利回り | 2.6% |
配当性向 | 30.7% |
直近10年 配当実績 | 増配9 据置1 |
中央自動車工業の現在の株価水準については、PERが11.8倍と比較的割安な水準にあるといえます。また、収益性についていえばROEが17.3%、営業利益率も25.9%と非常に高い利益率をたたき出していることが分かります。これは主力製品であるカーコーティング剤の利益の高さが反映されたものと考えられます。配当に関して言えば、配当利回りは2.6%とそこまで高くないものの、今までの配当実績ではほぼ毎年増配を発表しており、今後の配当利回りアップに期待が持てます。
まとめ:高収益のカーコーティング剤の海外展開に期待!

今回の記事では、今注目すべき企業として中央自動車工業株式会社をピックアップして紹介しました。中央自動車工業は、カーコーティング剤を主力とした自動車用品の製造販売を行っている企業で、全国の自動車ディーラーへの強力な販売網を武器に、売り上げを伸ばし続けています。株価は長期的な上昇トレンドを描いており、株価水準も割安かつ高い収益性を確保できていることがうかがえます。
今後は、自動車用品の海外卸事業で構築した商流を生かし、カーコーティング剤の海外展開を行っており、さらなる収益の増加に期待がかかります。