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最近話題の高配当株投資に興味がある!早速投資してみたい!
最近新NISA制度が開始されたことをきっかけに、投資手法の一つとして各メディアで盛んに取り上げられている「高配当株投資」。今回の記事では、違った視点から高配当株投資について取り上げ、高配当株投資のメリットと併せて、見落としがちなデメリットについて解説していきます。
この記事を読めば、高配当株投資について正しく理解することができるはずです。ぜひ参考にしていただけると嬉しいです。
高配当株投資とは?
高配当株投資が紹介される場合、一般的には「配当利回りが高い企業に投資する」投資手法と紹介されることが多いです。例えば、以下のような配当利回りランキングを紹介し、一位の企業から順に株を購入して保有し続けるといった形です。
順位 | コード | 銘柄名 | 株価 | 配当利回り |
1 | 5410 | 合同製鐵 | 5600 | 4.87% |
2 | 8890 | レーサム | 3460 | 4.83% |
3 | 5401 | 日本製鉄 | 3585 | 4.47% |
4 | 8130 | サンゲツ | 3250 | 4.30% |
5 | 7202 | いすゞ自動車 | 2005 | 4.30% |
6 | 9110 | NSユナイテッド海運 | 5000 | 4.20% |
7 | 6670 | MCJ | 1352 | 4.11% |
8 | 5105 | TOYO TIRE | 2588 | 3.95% |
9 | 8253 | クレディセゾン | 3000 | 3.21% |
10 | 6498 | キッツ | 1251 | 3.09% |
各日本企業の配当利回りを比較できるWebサイトは多くありますので、そのサイトに行って配当利回りランキングをチェックして、上位の企業の株を買って保有するだけなので単純明快です。
高配当株投資のメリットとは?

高配当株投資を行うメリットとしては、主に以下の内容があります。
株式を保有しているだけで、定期的に高い収入を得られる
高配当株投資の1つ目のメリットとして、高配当利回りの株式を保有するだけで、高い配当金を継続的に得られる点です。配当金は、各企業で定められている権利付き最終日と呼ばれる日に、その企業の株式を保有していれば、毎年もらえます。(無配となってしまった場合は除く)
ちなみに権利落ち日、権利確定日という日も別にありますが、こちらの日に株式を保有していても配当金を受け取ることはできないので注意しましょう。
例:2024年3月29日が権利確定日の場合
3/27(水) | 3/28(木) | 3/29(金) |
権利付き最終日 | 権利落ち日 | 権利確定日 |
購入した株式を保有し続けていれば、自動的に配当を受け取れる権利を得られるので、定期的に収入を得ることができるというわけです。
株価は配当金に影響しないので、市場動向を注視しなくて済む
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高配当株投資の2つ目のメリットとして、配当金は企業の株価と連動しないので、市場動向を注視しなくて済む点です。たとえ保有している企業の株価が下落傾向にあるとしても、配当金は株価と関係なく支払われるので、株価チャートに張り付いてチェックする手間がありません。この点で、精神的なストレスの少ない投資法だといえるでしょう。
単純で手軽なので投資初心者も始めやすい
高配当株投資の3つ目のメリットとして、企業の配当利回りが高い順に株式を購入して保有するだけなので、単純で手軽な点です。
投資する企業の業績を細かくチェックしたり、経済動向を気にする必要もないため、投資を始めたての初心者の方でも手を出しやすいといえるでしょう。
高配当株投資のデメリットとは?

ここまで、高配当株投資のメリットについて説明してきましたが、高配当株投資を別の視点から見ると注意すべきデメリットもあります。主に以下のデメリットが挙げられます。
配当利回りが高い = 好業績企業ではない
高配当株投資の1つ目のデメリットとして、配当利回りの高さと企業の業績の良さは必ずしもリンクしていないという点です。以下の配当利回りを計算する式に注目してみましょう。
\( 配当利回り = \dfrac{一株当たり年間配当金}{株価}×100 \lbrack\%\rbrack \)
この式を見ると、配当利回りが高くなるには以下の二つのパターンがあることが分かります。
- 株価に対して1株当たりの年間配当金が増えて、配当利回りが上がった
- 1株当たりの年間配当金に対して、株価が下がった
①のパターンについては、企業から株主への還元策を強化していると受け取れるため、良い傾向といえます。しかし、②のパターンについてはどうでしょうか。たとえ1株当たりの配当金の金額が変わっていなかったり、減配していたりしたとしても、株価がそれ以上に下落していれば、見かけ上配当利回りは高くなります。
つまり配当利回りだけでは、企業の業績が良く配当を増やしているのか、何らかの悪材料で企業の株価が下落傾向にあるだけなのかわからないということです。
成長性のない企業に投資してしまう可能性がある

高配当株投資の2つ目のデメリットとして、成長性のない企業に対して投資してしまうリスクが挙げられます。これは、株主に還元される配当金が企業の利益のどれほどの割合を占めているか示す指標「配当性向」を見ると分かります。
\( 配当性向 = \dfrac{一株当たり年間配当金}{一株当たり純利益}×100 \lbrack\%\rbrack \)
この配当性向が高いほど、その企業が得ている利益の多くを株主への配当金に回しているということです。しかし、企業が成長していくためには、以下のような用途で投資を行うことは不可欠です。
つまり、その企業は利益成長よりも株主の還元を重視しすぎている可能性があります。これは、長期的な視点で考えれば、株主にとってはデメリットになります。例として、以下の2つの企業の比較をしてみましょう。
- 企業A 配当性向75% 一株当たり純利益 ¥100 → 一株当たり配当金¥75
- 企業B 配当性向15% 一株当たり純利益 ¥100 → 一株当たり配当金¥15
この時点においては、企業Bの株式を保有するよりも企業Aの株式を保有した方が配当金を多くもらえます。
しかし、企業Aは企業成長に向けた投資額が少ないので、1年あたり企業Bの1/5しか成長できず、企業Aは年率5%、企業Bは年率25%で成長するとしましょう。すると10年後には以下のようになり、結局は企業Bを保有していた方が配当金を多くもらえることになります。
- 企業A 配当性向75% 一株当たり純利益¥163 → 一株当たり配当金¥122
- 企業B 配当性向15% 一株当たり純利益¥931 → 一株当たり配当金¥140
実際は、企業が投資した金額がそう単純に利益に結び付くわけではありませんが、成長に向けた投資の重要性が分かると思います。このように、利益を企業の成長でなく株主の還元に向ける企業に対して投資し、長期的には損な選択をしてしまうリスクがあるということです。
企業業績や経済動向について学ぶチャンスを失ってしまう
高配当株投資の3つ目のデメリットですが、企業業績や経済に対する知識を得るチャンスを失ってしまうことが挙げられます。
高配当株投資では一度株式を購入したら、あとはほったらかすだけということが魅力の投資手法と言えます。しかし、その場合せっかく株式投資を始めたにもかかわらず、企業業績や、経済動向ニュースに関心を持つチャンスを失ってしまうということです。
これらの知識は株式投資だけでなく、今後の人生の中でも活用できる機会は多く、もったいないデメリットになると考えています。
まとめ:高配当株投資を正しく理解して投資しよう!
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今回は、最近各方面のメディアで盛んに取り上げられている高配当株投資についてメリットと、見落としがちなデメリットについて解説しました。おさらいすると、高配当株投資とは一般的に、「配当利回りの高い企業株式に投資し、保有し続ける」投資手法を指します。
高配当株投資のメリットとしては、以下の3つを紹介しました。
一方で、高配当株投資のデメリットとしては、以下の3つを紹介しました。
これらの特徴を理解したうえで、高配当株投資を始めてみるかどうかは、皆さんの手で判断してもらいたいと思います。
私個人の意見としては、目先の配当利回りの高さだけを見るのではなく、その企業の業績や、ビジネスモデル、配当性向などの情報をチェックし、長い目で見て配当を多くもらえると期待できる企業に投資する。これが真の意味での高配当株投資だと考えています。