【ふるさと納税で躍進】アイモバイル(6535)について銘柄分析!

銘柄分析

個人的に注目している銘柄をピックアップして紹介していきます。今回はふるさと納税のポータルサイト「ふるなび」の運営を中心とした事業を行う企業、アイモバイルについて特集します。アイモバイルという企業のビジネスの特徴や、どんな強みを持っているのか、また業績状況・現在の株価水準などについて分析した結果を共有したいと思います。興味があれば参考にしていただけると嬉しいです。

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アイモバイルはどんな企業?

まずは、アイモバイルとはどんな企業なのかについて簡単に紹介していきます。アイモバイルの企業基本情報を以下の表に示します。

企業概要
会社名株式会社アイモバイル
i-mobile Co.,Ltd.
証券コード6535
業種サービス業
株式市場東証プライム市場
本社所在地東京都渋谷区渋谷三丁目26番20号 
関電不動産渋谷ビル 8階
設立年2007年8月17日
資本金1億5200万円
従業員数219名(2024年7月)
事業内容▼ふるさと納税事業(ふるなび)
▼トラベル事業
▼レストランPR事業
▼ポイントサービス事業
▼アドネットワーク事業
▼インフルエンサーマーケティング事業
▼インターネット広告代理店事業
▼メディアソリューション事業
▼アプリ運営事業 等
出典:株式会社アイモバイル 会社概要

アイモバイルの事業内容

アイモバイルはどんなビジネスをしている企業なのか紹介します。アイモバイルの事業は大きく分けると以下の2つです。

  • コンシューマー事業
  • インターネット広告事業

コンシューマー事業

コンシューマー事業は、アイモバイルの主力事業であるふるさと納税事業とその関連サービスが含まれています。そもそもふるさと納税とは、自分の選んだ自治体に寄付を行うことで、2000円を超えて寄付を行った分は税金が控除されるという制度です。そのうえ、返礼品として食品や日用品、家電に至るまで様々な特産品を受け取れるという大きなメリットがありお得です。

アイモバイルでは、このふるさと納税の申し込みを行えるポータルサイト「ふるなび」を運営しています。またそれに関連して、高額所得者向けのふるさと納税代行サービス「ふるなび Premium」や、返礼品として旅行体験を提供する「ふるなびトラベル」も展開しています。

インターネット広告事業

アイモバイルのもう一つのメイン事業が、インターネット広告事業です。インターネット広告とは、皆さんがスマートフォンでアプリを利用しているときや、企業や個人のサイトを見ているときに表示される広告のことです。バナー形式や動画形式など様々な種類があります。

アイモバイルでは、インターネット広告で宣伝を行いたい広告主と、インターネット広告を掲載して収益を得たい広告パートナーをつなぎ合わせるサービスを展開しています。

アイモバイルの強みとは?

アイモバイルはどうやって事業を成長させてきたのでしょうか。アイモバイルならではの強みとしては以下の3つが挙げられます。

アイモバイルの強み
  • ふるさと納税サイト「ふるなび」の高いシェア
  • グーグルも認めるインターネット広告事業での実績
  • 最先端の流れを汲んだ新規投資に積極的に実施

ふるさと納税サイト「ふるなび」の高いシェア

アイモバイルの1つ目の強みとして挙げられるのが、ふるさと納税事業で高いシェアを確保していることです。アイモバイルのふるさと納税ポータルサイト「ふるなび」は、着実に提携する自治体や利用者数を伸ばしており、ふるさと納税を行う約5人に1人がふるなびを利用しているほどです。

ここまでの成長を遂げられたのは、ふるなび独自のポイント還元制度や、自治体との連携の強さテレビCMなどを通じた効果的な広告宣伝を行ってきたことによるものだと捉えています。このふるさと納税事業における高によって、継続的に収益を得られるビジネスとして作り上げたところにアイモバイルの強みが表れています。

グーグルも認めるネットワーク広告での実績

アイモバイルの2つ目の強みとして、祖業であるネットワーク広告事業での高い実績が挙げられます。アイモバイルは、企業や個人サイトに掲載されているネット広告について、配置などをコンサルティングすることで、よりクリックされやすく収益をあげられるよう支援してきました。

その実績としてアイモバイルは、Googleから公式に「Google Certified Publishing Partner」に選ばれています。これは、Googleの広告プラットフォームであるGoogle Adsenseなどについてのサポート事業を行うにふさわしい実力を持った企業として審査を通った証です。

国内企業では4社が認定されており、アイモバイルは数少ない認定企業の1社です。そのため、Googleブランドの知名度を活用し差別化を図れるところが強みになってきます。

最先端の流れを汲んだ積極的な投資

アイモバイルの3つ目の強みとして、将来を見据え新規事業への投資を積極的に行っていることが挙げられます。現状アイモバイルの業績は、ふるさと納税関連事業とネットワーク広告事業の2本柱で支えていますが、さらなる成長を遂げるため、新規事業に参入しています。

その一つがグリーンエネルギー事業です。グリーンエネルギー事業では、丸紅などほかの企業とパートナー関係を結びながら、太陽光発電所を保有して、電力事業の拡大を推し進めています。

また、ネットワーク広告事業では、SNSを情報源とする人が増えていく流れを見据えて、インフルエンサーマーケティング事業を拡大させており、従来のネットワーク広告事業からの転換を図っています。ほかにも、懸賞アプリ事業を行っている企業を買収するなど、成長投資を活発に行っていることもこの企業の強みとなっています。

投資先としてみたアイモバイルは?

続いて、アイモバイルを投資先と見たときの業績や株価水準などについての分析結果を共有します。

アイモバイルの業績推移

アイモバイルの直近5年間の業績の推移を以下のグラフに示します。売上高には波がありながらも、2024年に過去最高の売上高を達成しています。営業利益率は15%以上、ROEは13%以上をキープしており、稼ぐ力と経営効率が非常に高いことがうかがえます。

アイモバイルの2020年から2024年までの売上高・営業利益率・ROEの推移を示したグラフ
出典:アイモバイル株式会社 2020年7月期~2024年7月期決算短信をもとに筆者作成

アイモバイルの株価水準

アイモバイルの直近5年間の月足チャートを以下に示します。2021年から2024年に至るまで目立ったトレンドもなくレンジ相場で推移していましたが、直近は上昇トレンドに転じる兆しが見えてきており、このまま株価が上昇していくのか注目しています。

アイモバイルの2019年から2024年にかけての月足チャート
出典:TradingView アイモバイル(6535)月足チャート
※赤ライン:12カ月移動平均線 青ライン:24カ月移動平均線 緑ライン:60カ月移動平均線

アイモバイルのファンダメンタルズ分析

アイモバイルの株価の水準感や業績、株主還元について分析した結果をまとめて紹介します。

ファンダメンタルズ 分析指標
PER10.3倍
PBR1.95倍
2024年7月期 ROE16.4%
2024年7月期 ROA10.5%
2024年7月期 売上18,735百万円
2024年7月期 営業利益率18.9%
配当利回り4.95%
配当性向52.2%
直近10年 配当実績増配2 減配1
出典:アイモバイル株式会社 2024年7月期決算短信 PER/PBR/配当利回りは2024年10月21日終値から計算

アイモバイルの株価水準については、PER:10.3倍PBR:1.95倍と平均と比べて低いことから、割安な水準にあると考えられます。業績については、15%を超える営業利益率、ROEがアイモバイルの利益を効率よく生み出す力の高さを物語っています。

株主還元に関しても、配当利回り4.95%非常に魅力的な水準ながらも、配当性向は50%近くなので株主還元に傾きすぎていないのも良い点といえるでしょう。

アイモバイルの将来性は?

アイモバイルの業績はこれから成長する見込みがあるのでしょうか。アイモバイルの事業内容をもとに今後の業績を押し上げそうな要因と、逆風になると想定される要因をそれぞれ紹介します。

地方創生への投資活発化の期待

アイモバイルの業績に追い風になることが期待される要因として、地方自治体の活発化に向けた投資の加速が挙げられます。先日、新たに内閣総理大臣に就任した石破 茂総理は、人口の東京への一極集中を是正し、地方への投資を加速させて活性化させることを政策として打ち出しています。

アイモバイルが主力事業としているふるさと納税事業は、この地方創生への関連性が強く、業績へのプラス要因になってくる期待があります。

ふるさと納税事業の不安定さ

一方で、アイモバイルの業績に対してのリスク要因として、ふるさと納税事業の不安定さが挙げられます。ふるさと納税ポータルサイトは、アイモバイルの運営する「ふるなび」のほかにも、楽天の運営する「楽天ふるさと納税」や、ソフトバンク子会社の運営する「さとふる」など競合サイトが多数あります。

そんな中で、「ふるなび」はAmazonギフト券やPayPayに交換できる独自ポイントの還元率の高さを打ち出して差別化を図り、高いシェアを得ていました。しかし、今年6月に総務省から発表されたふるさと納税の基準の見直しにより、来年2025年の10月からこのポイント還元策は使えなくなります。

出典:総務省 ふるさと納税の指定基準の見直しより抜粋

もちろん、アイモバイルはこの総務省の制度変更に対して賛同する意思を示したうえで、魅力的な独自の返礼品の拡充や関連サービスの強化で高いシェアを維持する意向を示していますが、先行きの不透明感はぬぐえません。

まとめ:ふるさと納税事業と新規事業を核とした成長に期待

今回は、ふるさと納税ポータルサイト「ふるなび」の運営などを行っている企業、アイモバイルについて解説しました。アイモバイルは、ふるさと納税関連サービスの提供やネットワーク広告のコンサルティングを行っている企業です。ネットワーク広告事業で培った実績をもとに、効果的な広告宣伝を行い、ふるさと納税サイト「ふるなび」で高いシェアを築き上げてきた強みを持っています。

アイモバイルの業績についていえば、営業利益率・ROEがともに15%を超えており、効率よく利益を稼ぎ出す能力が高い企業であることが分かります。4%を超える配当利回りは非常に魅力的であり、株価の割安感もあります。

今後の見通しについては、地方創生に対する投資加速によるプラス効果が期待されるものの、2025年10月からのふるさと納税におけるポイント付与禁止による影響や、競合の多い中で「ふるなび」が高いシェアを維持できるかが注目点となってくると考えています。