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よくニュースでGDPとか、日銀短観とか聞くけど実はよくわかってない・・
経済ニュースでよく目にするGDPや消費者物価指数・日銀短観といった経済指標。実際それで何が分かるのか理解できていない方も多いのではないでしょうか。筆者自身も以前はよく理解できておらず、聞き流していました。
そこで今回は、日本の主要な経済指標について解説していきたいと思います。今回の記事を読めば、今後ニュースを見聞きする際に、より理解度が深まるはずです。ぜひ参考にしてください。
日本の主要な経済指標
日本の代表的な経済指標としては、以下の5つが挙げられます。
- GDP
- 日銀短観
- 景気動向指数
- 景気ウォッチャー調査
- 物価指数
これら5つの経済指標について順番に解説していきます。
GDP(国内総生産):各国の経済力

GDP(Gross Domestic Product)は、国内総生産と呼ばれる指標で、内閣府によって年4回発表されます。この指標は日本国内での経済活動によって生み出されるモノやサービスの価値の合計を示しています。つまり、各国の経済力を表す最もわかりやすい指標ということです。ただし、日本企業が海外の拠点で生み出すモノやサービスについては考慮されていないことには注意が必要です。
GDPには、「名目GDP」と「実質GDP」の二つがあります。この違いとして、名目GDPには物価変動の影響が入っていて、実質GDPは物価変動の影響を取り除いたものとなっています。
現在の世界各国の名目GDPのランキングは以下のようになっており、日本は昨年2023年にドイツに抜かれ現在4位の位置となっています。このことは経済ニュースで盛んに取り上げられていました。
引用元:【2024年最新】世界GDP(国内総生産)ランキング(IMF)|セカイハブ
日本がドイツに抜かれた理由としては、先ほどの名目GDPと実質GDPの差として挙がっていた物価上昇の影響、つまり日本円の価値が下がった影響が大きいです。そのため、今後日本の金利が上がり始めれば、再び3位に復帰する日もそう遠くはないでしょう。
日銀短観:日本銀行による景気アンケート調査

日銀短観は、日本銀行によって年4回発表される、各企業に景気の先行き・設備投資計画について聞いたアンケート調査結果をまとめた指標です。特に注目されるのが業績についてアンケート調査した「業況判断DI」です。これにより各企業の経営者が今後の景気の先行きをどう見ているかが分かります。
※DI(Diffusion Index):構成する指標のうち、改善している指標の割合を示す指数のこと。
調査方法としては各企業の経営者に対し、現状の業績と3か月後の業績見通しについて、「良い」・「さほど良くない」・「悪い」の3段階で評価してもらった結果をまとめます。この結果の「良い」と回答した企業数から「悪い」と回答した企業数を引いた数を業況判断DIとしています。つまり現状の景気や3か月後の景気の先行きの見通しが良いと考える企業が多いほど、プラスの値をとるということです。
この業況判断DIについて、大企業の製造業/非製造業、中小企業の製造業/非製造業それぞれの直近4年間の推移を以下に示します。
出典:日本銀行時系列 統計データ検索サイト
2020年に新型コロナウイルスの感染拡大を受け、大企業・中小企業関係なく業況判断DIがマイナスの業績見通しが悪い状態になりましたが、現在に至るまでに回復を続けプラスに転じています。特に大企業の非製造業については、円安によるインバウンド効果もあり業績見通しが好調であることが分かります。
景気動向指数
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景気動向指数は、内閣府から毎月発表される日本の景気状況を把握するために行われる複数の調査結果をまとめて指数としてあらわしたものです。この景気動向指数は以下の3つに分けられ,日本の現状の景気状態や景気の先行きについて把握することができます。
- 景気先行指数:景気の動きに対して先んじて変化する
- 景気一致指数:景気の動きと同じタイミングで変化する
- 景気遅行指数:景気の動きに遅れて変化する
それぞれ分けて解説していきます。
景気先行指数
景気先行指数は、景気の動きに先行して変化する指数であり、以下の11の指標から構成されています。
引用元:統計表一覧:景気動向指数 結果|内閣府
- 新規求人数
- 実質機械受注
- 消費者態度指数
- 新設住宅着工床面積
- 最終需要財在庫率指数
- 鉱工業生産財在庫率指数
- マネーストック
- 日経商品指数
- 東証株価指数
- 投資環境指数
- 中小企業売り上げ見通しDI
これらの中から代表的なものを3つについて紹介します。
新規求人数(除学卒)
新規求人数は、直近1か月間においてハローワークにおいて新たに受け付けられた求人件数を指します。求人件数が増加する⇒これから景気が良くなるという流れで景気に先行して動きます。ちなみに学卒者が除かれているのは、「大学等卒業者就職状況調査」や「高校・中学新卒者の求人・求職状況」といった別の調査でまとめられているためです。
実質機械受注
実質機械受注は、主に工場で使用される設備機械の製造企業の受注量を指しており、機械受注が上向く⇒企業の設備投資が増えている⇒これから景気が良くなるという流れで景気に先行して動きます。
消費者態度指数
消費者態度指数は、我々消費者の暮らし向きに関する考え方の変化や物価の見通しについて調査した結果を指しています。調査方法は消費者に対して、以下の5つについて今後半年間の見通しを、「良くなる」・「やや良くなる」・「変わらない」・「やや悪くなる」・「悪くなる」の5段階で評価してもらうアンケートを取ります。
引用元:消費者態度指数 調査票|内閣府
- あなたの世帯の暮らし向きは、今後半年間に今よりも良くなると思いますか、悪くなると思いますか。
- あなたの世帯の収入の増え方は、今後半年間に今よりも大きくなると思いますか、小さくなると思いますか。
- 職の安定性、みつけやすさなどの雇用環境は、今後半年間に今よりも良くなると思いますか、 悪くなると思いますか。
- 耐久消費財の買い時としては、今後半年間に今よりも良くなると思いますか、悪くなると思いますか。
- あなたの世帯で所有している株式・土地などの資産価値は、今後半年間に今よりも増えると思いますか、減ると思いますか。
5段階の評価結果を集計し、以下のように点数付けをし加重平均をとって指数化します。50より高ければ消費者の意識が改善、50より低ければ消費者意識が悪化していると分かります。
1×「良い」と回答した割合+0.75×「やや良い」と回答した割合+0.5×「どちらともいえない」と回答した割合+0.25×「やや悪い」と回答した割合+0×「悪い」と回答した割合
引用元:調査結果(全体版)|内閣府
つまり、消費者態度指数が高い⇒収入や雇用環境が今後良くなるだろうと前向きに考える人が増えた⇒これから景気が良くなるという流れで景気に先行して動きます。
景気一致指数
景気一致指数は、景気の動きに連動してほぼ同じタイミングで動く指数であり、以下10の指標から構成されています。
引用元:統計表一覧:景気動向指数 結果|内閣府
- 鉱工業生産指数
- 有効求人倍率(除学卒)
- 労働投入量指数
- 耐久消費財出荷指数
- 鉱工業用生産財出荷指数
- 投資財出荷指数
- 商業販売額(小売業)
- 商業販売額(卸売業)
- 営業利益(全産業)
- 輸出数量指数
この中から代表的な指標3つについて紹介します。
鉱工業生産指数
鉱工業生産指数は、鉱工業(鉱業・建設業・製造業)における製品の生産量の推移を指しています。以下の式で基準を100として指数を計算します。基準となる年については5年ごとに変わっており、2024年は2020年の生産量を基準としています。
\(鉱工業生産指数=\dfrac{毎月の生産量}{基準年同月の生産量}×100\)
有効求人倍率(除学卒)
有効求人倍率は、求人件数を求職者数で割った求職者数と求人件数のバランスを示す指標です。景気が良くなれば求人件数が増加するので有効求人倍率は増加し、景気が悪くなり求職者数が増加すれば有効求人倍率が減少するので、景気に連動して推移する傾向にあります。
労働投入量指数
労働投入量指数は、労働者数と一人当たりの労働時間を掛け合わせた労働投入量の推移を示す指標です。毎月の労働投入量を基準となる年(2020年)の同月の労働投入量と比較して100を基準に指標として計算します。景気が悪くなると、企業は次のような順番で雇用コストのカットを行う傾向にあります。
- 時間外労働(残業)時間の削減
- 労働時間の短縮
- 労働者の解雇
つまり、労働投入量指数の低下が景気の悪化を示す指標になるということです。
景気遅行指数
景気遅行指数は、景気の変動に対して遅れて変化する指数で、以下の9つの指標から構成されています、
引用元:統計表一覧:景気動向指数 結果|内閣府
- 第3次産業活動指数
- 家計消費支出
- 最終需要財在庫指数
- 常用雇用指数
- 実質法人企業設備投資
- 法人税収入
- 完全失業率
- 消費者物価指数
- きまって支給する給与
この中から代表的な指標3つについて紹介します。
第3次産業活動指数
第3次産業活動指数は、第3次産業の各業種における経済活動状況を示す指標です。第3次産業活動指数は公表までのタイムラグが大きいことや変動が小さいため、景気動向に対して遅れて変化する傾向にあります。
そもそも第3次産業とは何かについてですが、産業の分類の一つで、下表に示す業種があります。第1次産業・第2次産業に当てはまらないサービス業や保険業・情報通信業など幅広い業種があてはまります。
第1次産業 | 第2次産業 | 第3次産業 |
漁業 | 鉱業・採石業 | 電気・ガス・熱供給・水道業 |
林業 | 砂利採取業 | 情報通信業 |
農業 | 製造業 | 運輸業・郵便業 |
建設業 | 卸売業・小売業 | |
金融業・保険業 | ||
不動産業・物品賃貸業 | ||
学術研究・専門技術サービス業 | ||
宿泊業・飲食サービス業 | ||
生活関連サービス業、娯楽業 | ||
教育・学習支援業 | ||
医療・福祉業 | ||
複合サービス事業 | ||
サービス業 | ||
公務 | ||
分類不能の産業 |
家計消費支出
家計消費支出は、消費者1世帯当たりの1か月間の生活を維持するための支出の推移を示した指標です。調査対象として、全国から約9000世帯がサンプルとして調査されています。消費支出としては以下の支出が該当します。
- 食料費
- 住居費
- 光熱・水道費
- 家具・家事用品費
- 被服及び履物費
- 保険医療費
- 交通・通信費
- 教育費
- 教養・娯楽費
- その他の消費支出
これらの消費支出の推移は、日本の景気が良くなる⇒労働者の収入が増える⇒消費者の財布のひもが緩んで消費支出が増えるといった流れで、景気動向に対して遅れて変化します。
最終需要財在庫指数
最終需要財在庫指数は、最終需要財が生産されて製造企業に在庫として残っている量の推移を示す指標です。最終需要財とは、工場などで加工される原材料などではなく、消費者の元で使われる最終製品のことを指します。景気との関係としては、日本の景気が良くなる⇒最終需要財の売れ行きが良くなる⇒企業が生産量を増やす⇒在庫が増えるという流れで、景気動向に対して遅れて変化します。
景気ウォッチャー調査

景気ウォッチャー調査は、景気を敏感にとらえることができる人に、景気動向についてアンケート調査を行った結果をまとめた指標です。調査方法としては、スーパーの店員やタクシー運転手・企業経営者など2050人を対象に以下の内容のアンケートを取り、「良い」・「やや良い」・「どちらともいえない」・「やや悪い」・「悪い」の5段階で評価してもらいます。
引用元:景気ウォッチャー調査 調査票|内閣府
- 今月のあなたの身の回りの景気は、良いと思いますか、悪いと思いますか?
- 今月のあなたの身の回りの景気は、3か月前と比べて良くなっていると思いますか、悪くなっていると思いますか?
5段階の評価結果を集計し、以下のように点数付けをし加重平均をとって指数化します。50より高ければ景気が改善、50より低ければ景気が悪化していると分かります。
1×「良い」と回答した割合+0.75×「やや良い」と回答した割合+0.5×「どちらともいえない」と回答した割合+0.25×「やや悪い」と回答した割合+0×「悪い」と回答した割合
引用元:調査結果(全体版)|内閣府
景気ウォッチャー調査結果からは、実際の消費者に近いリアルな景気の状況が把握できます。
物価指数

物価指数は、モノやサービスの値段の推移を示す指数になります。物価指数には「企業物価指数(CGPI)」と「消費者物価指数(CPI)」があります。
- 企業物価指数(CGPI) :企業間でのモノやサービスの取引価格の推移 日本銀行が毎月発表
- 消費者物価指数(CPI):消費者が購入するモノやサービスの値段の推移 総務省が毎月発表
物価指数によって、お金である日本円に対しモノやサービスの価値が上がっているのか、下がっているのかを把握することができます。
まとめ:経済指標から日本の経済動向を理解しよう!
今回は、日本の景気状況を把握するための各種経済指標についてまとめて紹介しました。内容をおさらいすると、主要な日本の経済指標として以下の5つの経済指標を紹介しました。それぞれの経済指標からわかることとあわせて記載します。
- GDP:日本という国自体の経済力
- 日銀短観:各企業から見た現状と3か月後までの景気見通し
- 景気動向指数:あらゆる方向から見た日本の景気状況と今後の景気見通し
- 景気ウォッチャー調査:景気を敏感に察知できる人から見た日本の現状の景気
- 物価指数:モノやサービスの値段
今後ニュースなどで見聞きした時は、今回の記事で紹介した内容をもとに、経済指標から日本の経済状況についてより深く理解し生かすことができるはずです。ぜひ役立ててもらえると嬉しいです。