今個人的に注目している銘柄をピックアップして紹介していきます。今回は地方の中古住宅をリフォームして販売する企業、カチタスについて特集します。カチタスとはどんな企業で、どんな強みを持っているのか、また現在の株価水準や業績について分析した結果を共有したいと思います。興味があれば参考にしていただけると嬉しいです。
カチタスはどんな企業?
まずはカチタスとはどんな企業なのかについて紹介していきます。カチタスの企業概要を以下の表に示します。
企業概要 | |
会社名 | 株式会社カチタス KATITAS Co.,Ltd. |
証券コード | 8919 |
業種 | 不動産業 |
株式市場 | 東証プライム市場 |
本社所在地 | 群馬県桐生市美原町4番2号 |
設立年 | 1978年9月1日 |
資本金 | 37億7887万円1000円 |
従業員数 | 843名(2024年4月1日現在) |
事業内容 | 中古住宅再生事業 |
カチタスの事業内容

カチタスの事業内容は非常にシンプルで、地方を中心に中古戸建て物件を買い取り、リフォームして資産価値を高めたうえで顧客に売る事業です。この中古住宅買取再販事業において、圧倒的なシェアの高さで国内No.1の地位を築いています。
築年数の長い戸建住宅を持っている方は、相続で家を渡そうとしても、すでに家族が別の持ち家を持っているケースも多く、手放すに手放せない状況があります。売却しようとしても、住宅自体の老朽化により耐震性や環境性能が劣り、買い手が見つからないといった問題もでてきます。
そこに注目したのがカチタスです。カチタスは中古住宅を適正な価格で買い取り、リフォームを施したうえで提供することで、中古物件を売りたい層・安価に良い持ち家を得たい層の両方の希望をかなえられるようにすることでビジネスが成立しています。
カチタスの強みとは?
カチタスはほかの不動産企業やハウスメーカーとどこで差別化を図っているのでしょうか。カチタスだからこその強みを挙げると、以下の3つがあります。
- 中古住宅買取再販No.1を支える仕入れ力
- 中古物件価値を見定める目利き力
- 地域リフォーム工務店・ニトリHDとの強固なネットワーク
中古住宅買取No.1を支える仕入れ力
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カチタスの1つ目の強みとして、中古住宅の買取数が群を抜いて多いことが挙げられます。中古住宅を仕入れるためには、競売と買取の2つの方法があります。競売はオークション形式で物件に入札し、最も高い金額で入札した業者がその物件を購入する方式です。一方で、買取は実際に家の持ち主や仲介業者のもとへ足を運び、交渉して物件を売ってもらう方式です。
カチタスはこの買取方式での物件の仕入れを得意としています。買取は、家の持ち主・仲介業者との交渉術・営業能力が求められるため、そういったスキルを備えた人材を持っているところもカチタスの強みとなっています。
また、 全国に営業支店を張り巡らせ、地方のカバー率を高めることで、家を売るならカチタスに売ろうという土壌を作りだしているところも仕入れ力の強さにつながっていると考えます。
中古物件価値を見定める目利き力
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カチタスの2つ目の強みとして、長年の実績をもとに培った中古戸建て住宅の目利き力の高さが挙げられます。中古住宅を仕入れ、リフォームを施して住宅の価値を上げようとしても、多大なコストがかかったり価値が上がりにくい物件もあります。それは以下のようなリスクを抱えている物件です。
- シロアリによって建材がダメージを受けている
- 雨漏りしている
- 土地の権利関係が明確になっていない
カチタスでは、累計7万戸以上の中古住宅買取を行ってきた長年の実績をもとに、こういったリスクがある物件を見極める仕組みを構築しています。そのため、リフォームにかかる費用を正確に見積もり、資産価値を上げられる物件を見極めることで、予定外の損失を防げる強みを持っています。
地域リフォーム工務店・ニトリHDとの強固なネットワーク
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カチタスの3つ目の強みとして、地域の工務店・ニトリHDとの連携体制の強さが挙げられます。地域の優秀なリフォーム業者に安定して施工を発注することで信頼関係を築き、仕入れた物件を魅力のある物件にリフォームしてもらう体制が整っています。
また、家具小売り大手のニトリHDとの提携も2017年から行っており、ニトリの魅力的な家具付きの物件を販売することで、物件購入者の満足度の向上につなげています。
投資先としてみたカチタス
続いて、投資先としてカチタスを見たときの業績や株価動向について分析した結果を共有していきます。
カチタスの業績推移
カチタスの直近5年間の業績の推移を以下のグラフに示します。営業利益率10%以上、ROE15%以上の高い収益性を維持しながら、年々売上高を増やして成長してきていることが分かります。
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カチタスの株価推移
カチタスの直近5年間の株価月足チャートを以下に示します。2019年から2022年にかけて順調に株価が上昇していましたが、2022年に入ってからは一転し長期的な下落トレンドが続いていました。直近数カ月で株価が盛り返す兆候を見せており、このまま上昇トレンドに転じるか注目したいところです。
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※赤ライン:6ヵ月移動平均線 青ライン:12ヵ月移動平均線 緑ライン:40ヵ月移動平均線
カチタスのファンダメンタルズ分析
カチタスの株価水準や配当利回りなどについてまとめた表を以下に示します。
ファンダメンタルズ 分析指標 | |
PER | 17.0倍 |
PBR | 4.0倍 |
2024年3月期 ROE | 22.4% |
2024年3月期 ROA | 11.8% |
2024年3月期 売上 | 134,500百万円 |
2024年3月期 営業利益率 | 10.0% |
配当利回り | 2.75% |
配当性向 | 49.4% |
直近10年の配当実績 | 増配5 |
カチタスの株価水準は、PER:17.0倍、PBR:4.0倍であることから、やや割高な水準にあると考えます。収益性に関しては、ROE:22.4%、ROA:11.8%と非常に高い水準にあり、効率よく稼ぐ力の強い企業であることが見て取れます。配当については、利回り:2.93%と平均的な水準にあり、配当性向が50%近いことから、事業の成長と株主還元をバランスよく行う企業とみています。
まとめ:社会課題に応えつつ業績拡大が期待できる企業
今回は、古くなった戸建住宅を中心に買い取り、リフォームを施して販売する企業カチタスについて特集しました。カチタスは、地方や郊外の戸建て住宅に的を絞り、住宅を買い入れてリフォームで価値を高めたうえで販売する企業です。中古住宅の仕入れを買い取り方式で行っており、各地の仲介業者や売主との交渉力・営業力を駆使して、国内シェアNo.1の不動の地位を築いています。
カチタスを投資先としてみると、営業利益率10%以上、ROE15%以上の高い水準で業績拡大を続けており稼ぐ力の強い企業だとみています。一方で、株価は長期的な下落トレンドにあり、PER・PBRから見ても割安感は薄いため、今後の株価トレンド転換に期待したいところです。
カチタスのビジネスは、国内の人口減少に伴う中古住宅・空き家の増加や新築住宅価格の高騰といった社会課題にマッチした事業になっているため、今後の業績を拡大していく期待を持てる企業だと考えています。