【カスタム品エレベータに特化】守谷輸送機工業(6226)を銘柄分析!

銘柄分析

今注目の日本企業について、1社ピックアップして紹介していきます。今回は、物流倉庫などで使われるエレベータを製造する「守谷輸送機工業」について特集します。守谷輸送機工業とはどんな企業で、どんな強みを持っているのか、また現在の株価水準や業績について分析した結果を共有したいと思います。興味があれば参考にしていただけると嬉しいです。

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守谷輸送機工業とはどんな企業?

まずは、守谷輸送機工業の企業情報とあわせて、どういった事業を行っているのか紹介していきます。

守谷輸送機工業 企業プロフィール

企業プロフィール
会社名守谷輸送機工業株式会社
Moriya Transportation Engineering and Manufacturing Co.,Ltd.
証券コード6226
業種機械
株式市場東証スタンダード市場
本社所在地神奈川県横浜市金沢区福浦1-14-9
設立年1950年3月
資本金41,082,117,000円 (2024年3月現在)
従業員数368名 (2024年3月現在)
事業内容各種エレベーター、垂直自動搬送機の
販売、設計、製造、据付、保守、修理、改修工事、リニューアル等の全業務
引用元:守谷輸送機工業株式会社|会社概要

守谷輸送機工業の事業内容

守谷輸送機工業は、さまざまな種類の業務用エレベータを扱うメーカです。人が移動するために利用するタイプのエレベータではなく、物流倉庫や工場などで使用される大型の荷物や扱いの難しい荷物を載せて運ぶために利用されるエレベータを作っています。また、エレベータの製造から据え付け・アフターメンテナンスまで一貫して行っているところも特徴です。

人が移動するために乗るタイプのエレベータは、大手企業(東芝やフジテック・三菱電機etc..)などがしのぎを削っている市場であり競争が激しいです。それに比べ、大型の荷物を運ぶなどの特殊な用途向けのエレベータは市場が小さくプレイヤーも少ないです。そのニッチな市場でシェアをグングン伸ばしているのが守谷輸送機工業というわけです。

ここからは、守谷輸送機工業の具体的な製品について紹介していきます。

荷物用エレベータ

少し年季の入った荷物用エレベーター

ネットショッピングなどで扱われる大量の荷物を保管する物流施設で使用されるタイプのエレベータです。荷物を運ぶフォークリフトごとエレベータに乗るようなケースも多く、数トンレベルの積載荷重に耐えられる大型のエレベータが求められており、守谷輸送機工業は各物流施設の要望にあったものをカスタマイズして供給しています。この大型荷物用エレベータでは国内シェアNo.1を誇っています。

船舶用エレベータ

コンテナを乗せて進むタンカー船

変わった製品として、海上を運行する船に搭載されるタイプの船舶用エレベータも扱っています。船舶用エレベータには、海上での激しい揺れや傾き、塩害などの非常に厳しい環境下でも安定して稼働することが求められる難易度の高い製品です。守谷輸送機工業では、これらの厳しい要望に応えられるエレベータも供給しています。

最近では、2024年3月に造船業に強い韓国のサムスン重工業から、初の船舶用エレベータの大型受注が決まったことがニュースとなりました。

守谷輸送機工業の強みとは?

守谷輸送機工業は、他のエレベータを製造するメーカと何が違うのでしょうか。ここからは、守谷輸送機工業の持っている強みについて紹介していきます。主な強みとして、以下が挙げられます。

守谷輸送機工業の強み
  • 厳しい要求にも応えるエレベータを生み出す技術力
  • 特殊品エレベータの製造から保守まで行う優れたビジネスモデル
  • 実績に裏打ちされたサポート体制

厳しい要求にも応えるエレベータを生み出す技術力

守谷輸送機工業の1つ目の強みとして、過酷な環境下でも使えるエレベータを製造できる技術力が挙げられます。荷物用エレベータについていえば、通常のエレベータでは乗せられないほど大きなサイズの荷物や重い荷物を運べる耐久性や、冷凍倉庫のような低温環境でも稼働できる性能が求められます。こういった特殊環境でのエレベータを専門に開発してきた実績があるからこそ、守谷輸送機工業にしか対応できない、高単価なエレベータの受注につながっていると考えます。

特殊品エレベータの製造から保守まで行う優れたビジネスモデル

エレベーターを点検する男

守谷輸送機工業の2つ目の強みとして、エレベータの製造から据え付け、保守まで一貫して行う優秀なビジネスモデルが挙げられます。守谷輸送機工業が扱うエレベータは、各顧客の要望に合わせたカスタム品であるがゆえに、保守サービスによる収益を他社に奪われる可能性が低く、強みとして働きます。

また、エレベータの保守サービスは安定した収益源となり業績を底上げしてくれます。市場での守谷輸送機工業のエレベータの稼働台数を増やすほどに、売り上げを伸ばしていける優れた仕組みになっているといえるでしょう。

実績に裏打ちされたサポート体制

作業着を着た男女の従業員がPCの前で顧客サポートを行っている風景

守谷輸送機工業の3つ目の強みとして、エレベータの充実したサポート体制が挙げられます。守谷輸送機工業は1950年創業と歴史が古く、70年以上にわたりエレベータ事業を行ってきています。その中で、日本中にサービス拠点を設置しており、故障があればすぐさま現場に駆け付けられる対応力を備えています。これは、他社がすぐに整えられるようなものではなく、顧客からの信頼度が上がる強みとして生きていると考えます。

投資先としてみた守谷輸送機工業

ここからは、守谷輸送機工業の株価推移や決算内容をもとに、投資先としての価値を分析した結果について示していきます。

守谷輸送機工業の株価推移

守谷輸送機工業の株価の推移について、2022年3月の株式市場上場から、2024年8月現在に至るまでの株価の月足チャートを以下に示します。

上場から2024年8月までの守谷輸送機工業の株価月足チャート
引用元:Trading View 守谷輸送機工業(6226) 株価月足チャート 
※赤ライン:12カ月移動平均線 青ライン:24カ月移動平均線

2024年1月から、2024年8月に入るまで上昇トレンドが続いていましたが、8月の日本株全体の株価急落のあおりを受け、トレンドの転換点にいる状態です。ここから、再び上昇トレンドに戻るのか、それとも下落トレンドに転じるのか注目したいところです。

守谷輸送機工業のファンダメンタルズ分析

続いて、直近の決算内容をもとに守谷輸送機工業の株価水準や収益性などについてチェックします。主要な内容を以下の表にまとめています。

ファンダメンタルズ分析指標
PER12.3倍
PBR2.5倍
2024年3月期 ROE20.6%
2024年3月期 ROA12.3%
2024年3月期 売上13500 百万
2024年3月期 営業利益率14.8%
配当利回り1.8%
配当性向20.3%
直近10年 配当実績増配1 据置1
守谷輸送機工業株式会社 2024年3月期決算短信をもとに2024年8月1日株価終値で計算

株価水準については、PERが12.3倍に対し、PBRが2.5倍と割安感は薄く適正な水準にあると考えます。収益性については、ROEが20.6%、営業利益率が14.8%と高い収益率を示しており、稼ぐ力の高い企業だととらえられます。配当利回りが1.8%と低めなのが気になりますが、株価にもう少し割安感が出る水準になってくれば、購入を検討する余地が出てくる企業だと考えています。

まとめ:カスタム品エレベータのニッチ市場での成長に期待!

今回の記事では、今注目している企業である「守谷輸送機工業」についてピックアップして紹介しました。守谷輸送機工業は、人が乗って移動するタイプではなく、超大型の荷物や厳しい温度環境で使用される特殊なタイプのエレベータを専門に扱うメーカです。創業70年以上の実績に裏打ちされた技術力優れたビジネスモデルを武器に、ニッチな市場で年々売り上げ・利益を伸ばしています。

現在の株価水準に対して割安感は薄いですが、今後のネットショッピングにおける物流倉庫需要や、韓国を中心とした諸外国での船舶用エレベータの需要を取り込み、業績を伸ばしていけるポテンシャルを持った企業だと考えています。今後の株価動向を引き続きチェックしていきたいと思います。