今週の日本での一番の注目イベントといえば、自民党の新しいトップを決める総裁選です。結果として、石破 茂議員が自民党の新総裁となり、第102代内閣総理大臣となることがほぼ確実になりました。そこで今回は時事ネタとして、石破茂議員の政策と、日本株市場への影響について解説していきたいと思います。興味があればぜひ参考にしてみてください。
- 新しい総裁に決まった石破 茂議員がどんな人なのか
- 石破 茂議員がどういった政策を行っていくと発言しているか
- 石破 茂議員が新たな総裁となることの市場への影響
石破茂 新総裁はどんな人?
まずは、今回自民党の新しい総裁に決定した石破 茂議員について簡単に紹介していきます。石破 茂議員の基本情報を以下の表に示します。
石破 茂議員 プロフィール | |
生年月日 | 1957年2月4日生 (67歳) |
出身地 | 鳥取県八頭郡八頭町 |
議員初当選 | 1986年 |
議員当選回数 | 12回 |
座右の銘 | 鷙鳥不群(しちょうふぐん) ※強者は群れずに単独で行動するの意 |
歴任した役職 | ●農林水産大臣 ●防衛庁長官・防衛大臣 ●国務大臣 ●自民党幹事長 |
石破 茂議員は、1957年生まれの67歳の議員です。今回の総裁選での勝利により、鳥取県初の内閣総理大臣となる予定です。議員職に就く前は、三井住友銀行の行員であり元銀行マンという経歴を持っています。初めて衆議院議員に当選した1986年から連続で12回議員当選を果たしており、ベテラン議員です。
長年の経歴の中で、数々の要職に就任しており、農林水産大臣・防衛大臣・自民党幹事長を務めた経験を持っており、特に防衛方面でのキャリアが長いことで有名です。
石破茂 新総裁の政策方針とは?
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続いて、石破新総裁が掲げている政策内容について紹介します。主なものは以下の3つです。
- 地方創生:地方経済の活性化を重視
- 金融政策:財政の健全化を優先
- 防衛力強化
地方経済の活性化を重視
石破新総裁の政策の1つ目の方針として、首都圏ではなく地方の経済を活性化させることに重点を置いていることが挙げられます。実際に、地方の農林水産業や観光・サービス業が持っている力を最大限に生かして、都市部からの地方への移住者数300万人を実現することを政策に掲げています。その点では、現職の岸田総理の掲げるデジタル田園都市構想とは、地方が抱える課題を解決する点で共通する部分があります。
財政の健全化を優先
石破新総裁の政策の2つ目の方針として、財政の健全化を優先することが挙げられます。石破新総裁が財政健全化の指標として注目しているのが、日本のプライマリーバランスです。プライマリーバランスは、私たち国民から徴収した税収や借金である公債から、社会保障や公共事業をはじめ様々な行政サービスを提供するための費用や国債の利払い費などを差し引いた額を指します。
出典:財務省ウェブサイト)(https://www.mof.go.jp/zaisei/fiscal-soundness/fiscal-soundness-01.html)
日本は、このプライマリーバランスが30年以上にわたって長期的に赤字の状態です。つまり借金をして年金などの社会保障費をなんとかまかなっている状態になっています。石破新総裁はこのプライマリーバランスを黒字に転換させることを重視しており、企業が支払う法人税の引き上げや金融所得課税強化などで税収を増やす余地があることを発言しています。
防衛力強化
石破新総裁の3つ目の主要な政策として、防衛力強化が挙げられます。石破新総裁は、日米の安全保障に通じており、日米同盟関係の強化のため、米国に自衛隊の訓練基地を作ることを提案しています。また、中国の脅威に対抗するために、日本・アメリカ・韓国を軸としたアジア版NATOの創設を提唱するなど防衛力強化に向けた政策を打ち出しています。
石破新総裁は防衛大臣・防衛省長官を務めた経験があるため、防衛力強化については長年のキャリアを生かした動きが期待されています。
石破茂 新総裁の日本株への影響は?
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石破茂 新総裁が誕生したことについて、日本株にどう影響してくるのか予想した内容を紹介します。
- 地方創生・防衛に関連する企業には追い風
- 金融所得課税の強化を含めた増税リスク
- 解散総選挙に伴う株価上昇期待
地方創生・防衛に関連する企業には追い風

石破茂 新総裁の日本株への1つ目の影響として、地方創生関連の企業の業績には追い風になることが想定されます。石破茂 新総裁は、地方自治体の活性化を重視しており、自治体の活動を支援したり、地方自治体の財源となるふるさと納税に関連する事業を行う企業に国の支援が入る可能性があります。例えば、以下の企業が考えられます。
- チェンジHD(3962):地方自治体のDX化支援とふるさと納税事業を運営
- サイネックス(2376):自治体の広報活動支援とふるさと納税代行サービス運営
- 雨風太陽(5616):地方農家から野菜・果物など食材を購入できるECサイトを展開
また、石破茂 新総裁は防衛力強化にも力を入れる姿勢を見せているため、防衛省向けの製品を製造する重工メーカーや計器メーカーなどにとってはプラスにはたらく可能性があります。例えば以下の企業が挙げられます。
- 川崎重工(7012):自衛隊の潜水艦・航空機を製造
- 東京計器(7721):航空計器・防衛省向け機器を製造
- いすゞ自動車(7202):陸上自衛隊用車両を製造
金融所得課税の強化を含めた増税リスク
石破茂 新総裁の日本株への2つ目の影響としては、財政の健全化に向け税収を増やすために金融所得課税強化などの増税策に打って出ることが考えられます。石破茂 新総裁は、税収を増やして年金などの社会保障サービスをまかなえるようにしていくことを重視しています。
その一つとして、株式などに投資して得た利益に税金をかける金融所得課税の強化について発言しています。これは、日本の株式市場にとってはマイナス要因として働くリスクがあります。また、法人税の増税余地があるとの発言もしているため、日本国内企業の利益も減り、業績を押し下げるリスクも抱えています。
現状はこのような増税策をいつ実施するか明言されていませんが、実施するかもしれないという不安が日本の株式市場の上値を抑える要因になると考えます。
解散総選挙に伴う株価上昇期待
石破茂 新総裁の日本株への3つ目の影響として、解散総選挙に伴う株価上昇が考えられます。2000年以降に解散総選挙は8回実施されていますが、日経平均株価はその全てで、TOPIXはその内7回で株価の上昇を見せています。これは、解散総選挙によって国内に変化が起きることへの海外投資家の期待を反映していると考えられています。
※ 解散前日終値から投開票日直前の終値を基準とする。出典:ロイター記事
石破茂 新総裁は、新総裁就任後の記者会見で解散総選挙をなるべく早く実施することを発言しており、10月中に解散総選挙が行われる見込みが強くなっています。今回も解散総選挙に伴って株価上昇の傾向が続くか期待されています。
石破茂 新総裁誕生に対する市場の反応は?
では実際に石破茂 新総裁の誕生に対して市場がどう反応したのか紹介します。
為替相場の反応
為替相場については、石破茂議員が新総裁に就任することが決まったことをきっかけに、急速に円高に振れ、1ドル142円台の水準で安定しています。この動きの要因としては、利上げに否定的な姿勢をみせていた高市 早苗議員の総裁就任への期待が先行していたことが考えられます。

日本の株式市場の反応
石破茂議員が新総裁に決まった時、当日の株式市場の取引時間は終了していたため日経平均先物で株価の反応を見てみましょう。以下のチャートに示す通り、石破茂議員が新総裁に決まったことをきっかけに、株価は2000円近く急激に下落しました。この要因として、上記の為替市場の円高の急速な進行に追従する形で日本株にも売りが出たためだと考えられます。

まとめ:石破茂 新総裁の今後の動きに注目
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今回は、今週の一大ニュースである自民党総裁選について、石破茂議員の新総裁への就任が決定したことの日本の株式市場への影響について特集しました。石破茂議員は、過去に12回連続で衆議院議員に当選しているベテラン議員で、防衛大臣・農林水産大臣・自民党幹事長といった重要ポストを歴任しています。
石破茂 新総裁の政策方針としては、財政の健全化と地方創生に重点を置いた政策を打ち出しており、特に金融所得課税の強化をはじめとした増税案については、本当に実施するのか今後の動きが注目されます。石破茂 新総裁の誕生は、地方創生や国防に関連する企業にはプラスにはたらくと予想されますが、金融所得課税の強化や法人税引き上げに向けた発言といった日本株にとってマイナスに働くリスクの方が注目されているようです。
現状は、石破茂 新総裁がどういった政策運営を行っていくのか明らかになっていないところも多いため、今後の発言や近日中に実施されるであろう解散総選挙の結果に注目していく必要があるでしょう。