【断熱材で住宅の省エネ化に貢献】日本アクア(1429)を銘柄分析!

銘柄分析

今注目している企業を1社ピックアップして紹介していきます。今回は、建築用の断熱材をはじめとした製品を持つ建設メーカ「日本アクア」について特集します。日本アクアとはどんな企業で、どんな強みを持っているのか、また現在の株価水準や業績についてファンダメンタル分析した結果を共有したいと思います。興味があれば参考にしていただけると嬉しいです。

スポンサーリンク

日本アクア 企業プロフィール

日本アクアの企業情報について以下の表に示します。

企業プロフィール
会社名日本アクア株式会社
Nippon Aqua Co., Ltd.
証券コード1429
業種建設業
株式市場東証プライム市場
本社所在地東京都港区港南2-16-2 太陽生命品川ビル20F
設立年2004年11月9日
資本金19億3百万円 (2023年12月31日現在)
従業員数501名 (2023年12月31日現在)
事業内容建築断熱用硬質ウレタンフォーム販売・施工
住宅省エネルギー関連部材の開発・製造・販売
引用元:日本アクア株式会社 企業情報

日本アクアの事業内容は?

立ち並ぶ新築の住宅たち

まずは、日本アクアがどういった事業を行っている企業なのか紹介していきます。日本アクアは、戸建住宅や工場などを建てる際に使われる断熱材や防水材を供給、施工している建設メーカです。断熱材を施工することで、夏は外部からの熱をさえぎり、冬は室内の暖気を逃がさない快適な住まいにする役割を果たします。断熱材には、大きく分けて以下の3つの種類があります。

  • 無機繊維系断熱材
  • 木質繊維系断熱材
  • 発泡プラスチック系断熱材

日本アクアは、発泡プラスチック系断熱材である発泡ウレタンフォームを専門に扱っています。

日本アクアの主力製品

日本アクアの主な製品について紹介します。日本アクアは以下の3つの製品を販売・施工しています。

日本アクアの主力製品
  • アクアフォーム
  • アクアモエン
  • アクアハジクン

アクアフォーム

断熱材が吹きつけられた建築中の住宅の屋根裏

アクアフォームは、国内No.1のシェアを誇る住宅用断熱材です。近年の住宅の省エネ化の流れにより、新築住宅にはより高い断熱性能が要求されており、熱をより通さず密着性の高い断熱材が求められています。それにこたえているのが日本アクアの「アクアフォーム」です。

アクアフォームは、壁面に吹き付けて施工するタイプの断熱材で、吹き付けられた断熱材が壁面に瞬時にくっつく性質を持っているため、隙間なく断熱できる利点があります。さらに、吹き付ける断熱材素材も研究開発により熱伝導率が低いものになっており、さらなる高断熱性を実現しています。

省エネ住宅基準を満たす付加価値の高い注文住宅を実現でき、補助金制度の活用や光熱費の削減につなげられるため、多くの住宅メーカから選ばれ主力製品として成長の原動力になっています。

アクアモエン

工場の天井に吹き付けられている耐火材と銀色の配管

アクアモエンは防火性能が求められる工場などで使用される不燃性の断熱材です。工場では溶接など火花が飛ぶような作業が行われることが多く、火災を防ぐために耐火性のある建築資材が求められています。日本アクアのアクアモエンは、従来は3回に分けて塗布しなければならなかった施工の手間を、1回の塗布で済ませられる利便性、試験に裏付けられた耐火性を武器にシェアを伸ばしています。

アクアハジクン

緑色に防水加工が施されたショッピングモール屋上の駐車場

アクアハジクンは、屋上駐車場やベランダなど雨にさらされる場所に施工される防水材です。建物は建築時に防水工事を行うことで、建物内部に水が浸入し劣化することを防ぎます。一方で、建物の老朽化が進んでくると壁にひびや剥がれが発生し防水効果が失われていきます。

これらの防水工事や修繕のための製品として、日本アクアはアクアハジクンを供給・施工しています。アクアハジクンは、塗布して数分で硬化する利点を持っているため、短時間で施工が完了します。防水性も高く、リフォーム用途を中心にシェアを伸ばしています。

日本アクアの強みとは?

日本アクアが業績を伸ばしていける強みがどこにあるのか、主なものを2つに分けて紹介します。

材料提供から施工まで一貫対応

作業着・ヘルメットを着用した女性作業員と男性作業員が並んで立っている

日本アクアの一番の強みは、断熱材の開発・製造から施工に至るまで一貫して実施できる唯一の企業であることです。断熱材を供給するのみでなく、施工まで一括して受注することにより、他社に対する競争優位性を生み出しシェアの拡大につながっています。

日本アクアではこのビジネスモデルを実現するために、優れた断熱材の研究開発だけでなく、施工技能者の育成や認定施工店の拡大といった取り組みを行っており、他社を寄せ付けない参入障壁を築き上げています。

優れた断熱材・防水材の特性

青色のウレタンで防水塗装された屋上の写真

日本アクアの2つ目の強みとして、供給する断熱材や防水材そのものの高いパフォーマンスが挙げられます。断熱材であるアクアフォームは、熱伝導率の低さとわずかな隙間も埋められる高い密着性の両立を実現しており、他に類を見ない断熱性能を住宅に提供しています。

また、防水材であるアクアハジクンは、高い防水性と塗布後数分で硬化する特性を両立することで施工業者の負担を軽減しています。のような優れた性能の建築資材を研究開発で生み出せることも、日本アクアが成長を続けていくうえでの大きな強みとなっていると考えます。

投資先としてみた日本アクア

つづいて、日本アクアの株価水準や業績について分析した結果について示していきます。

日本アクアの株価推移

日本アクアの株価の推移について、直近5年間の月足チャートを以下に示します。

引用元:Trading View 日本アクア(1429)株価チャート

日本アクアの株価は、2022年7月から緩やかな上昇トレンドを形成しています。今年8月初めの日本株全体の急落のあおりを受け、600円台まで株価が下落しましたが、長い下ひげをつけて株価は戻っています。このまま上昇トレンドに戻っていけるのか注目です。

日本アクアの業績分析

日本アクアの株価水準や収益性などについてファンダメンタル分析した結果を示していきます。

ファンダメンタル分析指標
PER11.9倍
PBR2.8倍
2023年12月期 ROE23.2%
2023年12月期 ROA9.5%
2023年12月期 売上28341 百万円
2023年12月期 営業利益率10.1%
配当利回り4.3%
配当性向51.1%
直近10年 配当実績増配6 据置4
日本アクア株式会社 2023年12月期決算短信をもとに2024年8月16日現在株価で計算

日本アクアの株価水準については、PERが11.9倍、PBRが2.8倍と割安感は薄く適正な水準にあります。収益性については、ROEが23.2%、営業利益率10.1%と高い水準にあり、稼ぐ力の高い企業だといえます。配当利回りについても4.3%と高く、株主へ利益を還元する姿勢が強い企業とみています。

株価が上昇トレンドを維持した状態でもう少し割安感が出てくれば、高い配当利回りを得ながら保有しておける良い投資先になるのではないかと考えています。

日本アクアの将来性は?

今後の日本アクアの業績の展望についてですが、追い風になる要素2つ逆風になる要素1つについてそれぞれ紹介します。

日本アクアの業績にプラスにはたらく要素
  • 新築住宅の省エネ基準の義務化
  • 円安による国内への生産回帰

新築住宅の省エネ基準の厳格化

日本アクアの業績に対してプラスにはたらくことが想定される要素として、新築住宅の省エネ基準の義務化が挙げられます。現在は工場や病院など大規模な非住宅の建築物に省エネ基準への適合が義務化されていますが、2025年4月からはすべての新築住宅・非住宅の建築物に省エネ基準への適合が義務化されます。これは、高性能な断熱材を供給する日本アクアにとって、需要が増え追い風になると考えます。

円安による国内への生産回帰

日本アクアの業績にプラスにはたらく2つ目の要素として、円安による国内への生産回帰の流れが挙げられます。現在進行している円安により、日本企業が海外に工場を持つメリットが薄れ、日本国内に工場を持つ流れが活発化してきています。また、海外企業が日本へ生産拠点を置く動きも起きており、半導体関連では、台湾のTSMCや米国のマイクロンなどが日本に半導体工場を建設中です。

こういった工場には高機能の断熱材が必要になってくるため、国内の工場需要の拡大は日本アクアに追い風になってくると考えます。

日本アクアの業績にマイナスに働く要素
  • 国内の戸建て住宅需要の低迷

国内の戸建て住宅需要の低迷

一方で、日本アクアの業績にマイナスに働くと思われるのが、国内の戸建て住宅需要の低迷です。日本は人口減少傾向が長らく続いており、それに伴って新築で住宅を建設する需要も減り続けています。新築住宅に使われる断熱材を供給する日本アクアからすれば、これは業績を押し下げる要因になってしまうと考えます。

まとめ:省エネ住宅需要・国内生産回帰で成長なるか

株価チャートの上においてある家のミニチュアとボールペン・電卓・付箋

今回の記事では、建設メーカである日本アクアについて特集しました。日本アクアは、新築戸建てや工場などの建築物に施工される断熱材防水材の供給・施工を行う企業です。強みとして、製品開発から施工・リサイクルに至るまで一貫して実施できる唯一の企業であること、業界最高水準の性能の断熱材を生み出す技術力がありシェアを伸ばしています。

現在の株価では割安感は薄いですが、高収益性で配当利回りも高いため、安値で購入できれば安定した配当収入を得られると考えています。国内の住宅需要の低迷というマイナス要因はありながらも、住宅の省エネ化・国内への生産回帰の流れを追い風に、業績の成長が見込めるとみています。