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投資スタイルに集中投資・分散投資とあるけど、結局どっちが良いの?
株式投資における永遠のテーマといっても過言ではない「集中投資」と「分散投資」どちらにすべきか。株式投資を行っている皆さんも悩んでいる部分ではないかと思います。そこで今回は、株式取引の初心者向けに、「集中投資」と「分散投資」とは何か、それぞれのメリット・デメリットについて比較しながら解説していきます。
この記事を読めば、皆さんの性格やリスク許容度と照らし合わせて、どちらの投資手法で行くべきか選べるようになるはずです。ぜひ参考にしてください。
集中投資・分散投資とは?

まずは、集中投資と分散投資とは何なのかを解説していきます。これは、投資する対象や投資するタイミングの分け方の違いのことを指しています。その意味について、それぞれ紹介していきます。
集中投資:限られた少数に絞り込んで投資する
集中投資というと、多くの場合は投資する対象を少数に絞り込んで投資することを指します。例えば以下のような例があります。
- 5,6社の企業にだけ投資する。
- 米国企業の株式のみに投資する。
- 高配当の企業の株式だけに投資する。
- 全資金を株式投資にのみ注ぎ込む。
また、以下のように投資するタイミングを絞って投資することを指すこともあります。
- 1月に1年分の投資金額を一括で投資する。
- 毎月28日にだけ投資する。
分散投資:広範囲の対象に投資する・時期を分けて投資する
もう一方の分散投資は、多くの場合投資する対象を絞らず、広範囲に投資することを指します。例えば以下のような例があります。
- インデックス型投資信託に投資する (その国の多数の企業に分散投資したのと同じ)
- 日本株式・米国株式・中国株式それぞれに投資している
- 株式投資だけでなく、債券投資、銀行預金に分けて資産を管理している
また、こちらも以下のように投資するタイミングを一定の間隔に分けて投資することを指すこともあります。
- 積み立てNISA制度を利用して、毎月10万円ずつ積み立て投資している
集中投資のメリットとは?

集中投資を行うとどのようなメリットがあるのでしょうか。株式投資における集中投資のメリットとしては、以下の3つが挙げられます。
- 短期間で大きなリターンを得られる
- 投資にかける管理コストが少ない
- 著名投資家は、集中投資派が多い
短期間で大きなリターンを得られる
集中投資を行う場合、自分が選んだ少数の対象にしか投資しないので、余計な損失を生むような対象を避けることができ、リターンを大きく伸ばすことができます。あくまで、自分が適切に投資対象を選ぶ優れた選別眼を持っていればの話にはなります。
投資にかける管理コストが少ない
集中投資を行うということは、日々チェックする対象や企業が少ないということにつながります。つまり、投資にたいして割くエネルギーや時間が少なくて済むというメリットがあります。
なので、投資対象一つ一つを念入りにチェックする余裕ができ、投資対象を選別する目利き力を養うことにもつながります。
著名投資家は集中投資派が多い
投資で歴史に名を遺すほどの財を成している著名投資家は、集中投資派であることが多いです。世界三大投資家として有名な、「世界一の投資家」ウォーレン・バフェット氏、「イングランド銀行を負かした男」ジョージ・ソロス氏、「冒険投資家」ジム・ロジャース氏はそれぞれ、投資で財を成すために集中投資を行っています。
分散投資は無知に対するヘッジだ。自分で何をやっているかわかっている者にとって分散投資はほとんど意味がない。
ーウォーレン・バフェット
引用元:バフェットとソロス 勝利の投資学 ー最強の投資家に共通する23の習慣ー マーク・ティアー著
集中投資のデメリットとは?

対して、集中投資のデメリットとしては、以下の2つが挙げられます。
- 投資先の選定を誤ると、大きな損失を抱えてしまう
- 精神的なストレスがかかりやすい
投資先の選定を誤ると、大きな損失を抱えてしまう
集中投資の最たるデメリットとして、投資先をしっかり吟味できていないと、大きな損失を被るリスクがあるということです。名だたる投資家が集中投資派であるのは、あくまで投資対象を選別する能力に長けていたり、投資先のリサーチに大きなエネルギーを注いでいるからです。
例として、バフェットの投資対象選別に対する考え方が分かる一節を紹介します。この部分からでも著名投資家がどれだけ投資対象のリサーチに時間をかけているのかが分かります。
バフェットは投資の初心者に次のように勧めている。「私が四〇年ちょっと前にやったのとまったく同じことをすればいい。アメリカの上場企業を全部調べるんだ。長い目で見ればそうして得られる知識はとても役に立つだろう。」
「でも、上場企業は二万七〇〇〇社もありますよ」(中略)
「それじゃ、Aから始めてみてはどうかな」
引用元:バフェットとソロス 勝利の投資学 ー最強の投資家に共通する23の習慣ー マーク・ティアー著
精神的なストレスがかかりやすい
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集中投資のもう一つのデメリットとして、限られた少数にしか投資しないということは、各投資対象の値動きに左右される度合いが高いということであり、日々の投資損益状況の振れ幅が大きくなります。
この振れ幅を見たときに、精神的ストレスを受けてしまい、仕事や学業に集中できなくなってしまうリスクがあります。
分散投資のメリットとは?

一方で、分散投資を行った場合にはどのようなメリットがあるのでしょうか。分散投資のメリットについては、以下の3つが挙げられます。
- 分散投資の代表格「市場平均」はプロの投資家に勝っている
- 株主優待を様々な企業からもらえる
- 精神的ストレスが少なくなりやすい
分散投資の代表格「市場平均」はプロの投資家に勝っている
分散投資のメリットとして、過去のデータをさかのぼると、米国の市場平均であるS&P500の投資成績は、大多数の投資のプロのファンドマネージャーの投資成績を上回っています。これは、分散投資の大きなメリットの証拠と言っても過言ではありません。
スタンダード&プアーズ社は、毎年S&P平均に関する様々な指数と積極(アクティブ)運用されている株式投信のパフォーマンスを比較して公表している。過去五年間を見ると、積極運用ファンドの四分の三以上はそのベンチマーク指数に負けていることがわかる。どの年の結果も似たようなものだ。 (中略) 市場平均のパフォーマンスは「月並み」ではない。平均的なプロのマネジャーたちよりも、常に優れているのだ。
引用元:「ウォール街のランダム・ウォーカー」 バートン・マルキール著 第7章より抜粋
株主優待を様々な企業からもらえる
日本の個別企業の株式に分散して投資した場合、株式保有の特典として株主優待を得ることができる場合があります。カタログギフトや優待割引き券・クオカードといった品々をもらうことができるので、これも分散投資におけるメリットの一つと言えるでしょう。
精神的ストレスが少なく済む
集中投資の場合とは逆に、複数の投資先に分散して投資することにより、成績が悪い投資対象があっても、対照的に成績のいい投資対象も混ざっているので、日々の損益の変動幅が少なくなる傾向にあります。つまり、投資損益の日々の変動を気にして、ドキドキせずに済むということです。
どうしても日々の投資成績が気になってしまうタイプの人にとっては、メリットになるでしょう。
分散投資のデメリットとは?
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対して、分散投資のデメリットについてですが、以下の内容が挙げられます。
- 短期間で大きなリターンは得られない
- 複数の投資対象の管理にコストがかかる
- 株主通信・株主総会の封筒が大量に届く
短期間で大きなリターンは得られない
分散投資の大きなデメリットの一つが、投資に対して短期間で大きなリターンを得られないということです。分散投資を行うということは、業績が良い企業・業績が悪い企業がまじりあうということなので、平均するとどうしても短期的なリターンは低くなりがちです。
複数の投資対象の管理にコストがかかる
分散投資するということは、投資対象が多岐にわたるということであり、それぞれを注意深くチェックするのは手間も時間もかかります。それゆえ、投資対象に対する分析がおざなりになりがちで、広く浅く確認する程度になります。
株主通信・株主総会の封筒が大量に届く
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日本企業の個別株式に分散投資した場合に限りますが、保有している株式の企業から、定期的に株主通信や株主総会に関する封筒が届きます。分散投資を行っている以上、投資している企業の分だけ封筒が届くので、処分が面倒です。
最近は環境配慮の観点から、Webでの情報展開へと切り替える企業も増えてきているため、このデメリットは解消する方向にあるでしょう。
まとめ:皆さんの投資目的やリスク許容度をもとに決めよう!
今回の記事では、株式投資における集中投資と分散投資とは何か、それぞれのメリット・デメリットについて解説しました。おさらいすると、集中投資のメリット・デメリットは以下になります。
- 短期間で大きいリターンを得られる
- 投資にかける管理コストが少ない
- 著名投資家は、集中投資派が多い
- 投資先の選定を誤ると、大きな損失を抱えてしまう
- 精神的なストレスがかかりやすい
それに対して、分散投資のメリット・デメリットは以下になります。
- 分散投資の代表格「市場平均」はプロの投資家に勝っている
- 株主優待を様々な企業からもらえる
- 精神的ストレスが少なくて済む
- 短期間で大きなリターンは得られない
- 複数の投資対象の管理にコストがかかる
- 株主通信・株主総会の封筒が大量に届く
これらのメリット・デメリットの内容からすると、集中投資・分散投資のどちらに向いているかを判断する基準の例としては、以下のようになります。皆さんの投資目的やリスク許容度をもとに、参考にしてみてください。
今回の記事の内容で参考にした書籍:
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